白谷茶園5反の内、私が引き継いだ1反は、長く白谷神楽を率いてこられた方の圃場でした。残念ながら1年ほどお茶への取り組みを学ばせていただいたばかりで、師は逝かれてしまいました。そこで、数年後、製品化するにあたって、迷わず、その製品名を「神楽茶」にしようと思ったのです。

この村では、神楽は日常的に家族で楽しむものであり、子どもたちは赤ちゃんの時から神楽の拍子を聴いて育ち、よちよちする頃には舞台下で一緒に舞いはじめ、保育園ではもう立派に演目を演じるようになるのです。神楽は、舞台上で演じられる伝統芸能としてだけではなく、生活のなかでの楽しみであり、無意識のうちに大切なことが身につく村の絆なのだと思います。

島根に来て何よりも心に響いた、神楽と人と農の関係性を、お茶と共に多くの方にお伝えしたいと思います。




製品のご紹介
kagura-cha all products


パッケージには、舞に命を吹き込む神々や鬼の面、舞を演出する剣や弓矢などの持ち道具、舞の美しさを引き立てる衣装の柄をモチーフとした3種類のデザインをご用意いたしました。
通常は、面のデザインでのパッケージで販売させていただいておりますが、道具や柄のデザインでのご要望も承ります。


煎茶 green tea

ティーバッグ(ひも付き・カップ用)3g×10 1,080円
ティーバッグ(ひもなし・ピッチャ―用)5g×10 1,620円
リーフ 50g 1,080円 完売
煎茶粉末茶 powdered green tea 粉末 50g 1,290円


蒸し製の普通煎茶です。カテキンがウイルスを撃退するイメージを「八幡」に託しました。熱湯でも美味しく召し上がれます。熱々のお茶がお好きな方にお勧め、水出しの場合は3時間以上抽出してください。粉末茶は、ほんの1gでマグカップいっぱい楽しんでいただけます。


「八幡(はちまん)」のおはなし

昔々、異国から飛来した第六天の悪魔王が、三界無邊の煙に姿を替え、人々の生き血を吸っていました。それを聞いた武勇の神で弓の名手、八幡麻呂が現れ、神通の弓と方便の矢で、悪魔王を退治します。
八幡麻呂は実在が確認できる最初の天皇と云われる応神天皇とされ、全国の八幡宮総本社大分県の宇佐神宮に祀られていて、皇室の祖神と伝えられています。



和紅茶 black tea

ティーバッグ(ひも付き・カップ用)3g×10 1,080円
リーフ 50g 1,080円


やぶきたとあさつゆの2品種を丁寧に発酵させた紅茶です。須佐之男命の末娘「十羅」が船上で鬼を迎え撃つ美しさに託しました。熱々で、甘い香りをお楽しみください。水出しでもおいしく召し上がっていただけます。


「十羅(じゅうら)」のおはなし

日本を鬼の住む国、鬼ヶ島にしようと、海の向こうから日御碕へやって来た彦羽根。それを知った須佐之男命の娘、十羅刹女は帰るよう説得しますが聞き入れられず、闘いの末、見事彦羽根を追い払って日本を守ります。
彦羽根も十羅刹女も女性。女性同士の闘いが、他の演目にはない優雅さ、美しさで表現されています。舞台は現在の島根県出雲市、日本一高い灯台があることで知られる日御碕。地域によっては「日御碕」というタイトルで親しまれています。



ほうじ茶  roasted green tea

リーフ 30g 1,080円


ほうじ茶の芳香成分ピラジンには、脳をリラックスさせる働きがあることがわかっています。お茶を焙じる香りはほっとするものですね。ほっこり優しい甘みを「恵比須」様に託しました。


「恵比須(えびす)」のおはなし

釣りが得意な神様、恵比寿様は出雲の国、美保神社のご祭神。漁業、商業の神様として崇拝されています。釣りが得意な恵比寿様が、鯛を釣り上げる様子を面白おかしく表現する演目で、撒き餌に見立てた飴「福飴」を会場のみんなに投げてくれます。この飴を食べると風邪を引かないと云われていて、飴をたくさん集めるのも子どもたちの楽しみのひとつです。にこやかな面を見ているだけで、心が和む、楽しい演目です。



釜炒り茶 pan-fired green tea

リーフ 30g 1,080円 完売


高温の釜で一気に殺青する(茶の葉の酸化を止める)製茶の醍醐味を、火を吹いて立ち上る「大蛇」に託しました。昔から吉賀町で、ずーっと続いている釜炒り茶です。熱々でお召し上がりください。


「大蛇(おろち)」のおはなし

昔々の出雲の国、天界の高天原を追われた須佐之男命が、ぶらり斐伊川のほとりを歩いていると、嘆き悲しむ足名椎と手名椎の老夫婦、美しい娘の稲田姫と出会います。話を聴くと、八岐大蛇が今夜娘を食べにくる、すでに7人の娘が食べられてしまったというのです。哀れんだ須佐之男命は、大蛇に毒酒を飲ませ、酔ったところを見事退治します。すると退治した大蛇の尾から剣が現れます。須佐之男命はその剣を天の叢雲の剣と名付け、姉の天照大御神に捧げ、稲田姫と結ばれます。 その時詠んだ歌、「八雲たつ 出雲八重垣 妻籠に 八重垣作る その八重垣を」が 日本最初の和歌、二人の結婚が日本最初の結婚と云われています。



番茶 bancha

リーフ  30g 1,080円


悪さをした鹿を良い鹿になれよと祀ってから、この町に鹿害はありません。こうした知恵が、丁寧な農の続いている所以なのかと思います。日干番茶の深みのある甘さを良い鹿になった「八久呂鹿」に託しました。
煮立ったお湯にひとつまみ投じ、ひと煮立ちさせてお召し上がりください。


「八久呂鹿(やくろじか)」のおはなし

時は文武天皇の御代、九州の筑紫で大暴れしていた鹿の化物、八久呂鹿。その姿は、足が8本、角が8又に分かれ、1尺あまりの赤毛に覆われ、龍の様に空を飛び、虎の様に地を駆け、人々や家畜を襲っていました。見かねた天皇の命により、藤原為実と藤原為方は、北面の武士、江熊太郎を連れ、鹿退治に出陣。鹿は海を渡り、吉賀町の大岡山に居ついていました。江熊太郎は見事、八久呂鹿を退治しますが、龍に姿を替えた鹿が吐き出した毒に死んでしまいます。里の民たちは、勇敢な江熊太郎を荒神明神として金五郎岩に、自分たちを苦しめた鹿をも哀れんで奇鹿神社に祀りました。以来、この地は、悪い鹿が良い鹿になるように、よいしか→よしかと呼ばれるようになりました。



生姜番茶 bancha with ginger

リーフ 30g 1,080円


お茶に生姜を入れて飲む方法は、3世紀に編纂された中国(その頃は魏)の書物にも紹介されており、「お茶に熱湯を注ぎ、生姜、葱、みかんの皮を混ぜる」とあります。ポカポカになりそうですね。観ているだけで体が熱くなる「塵輪」に託しました。


「塵輪(じんりん)」のおはなし

異国より数万騎の軍勢を従えて攻め入る悪鬼、塵輪。その身には翼があり、黒雲で飛び回る恐ろしい鬼です。第14代天皇、帯中津日子は家来の高麻呂と共に、天の鹿児弓と天の羽々矢によって、これを退治し日本に平和をもたらします。
帯中津日子は演目「八幡」の八幡麻呂の御父君。神2人、鬼2人が舞台狭しと迫力満点に舞います。衣装が一瞬で変わる「肩切り」という技も、見どころのひとつです。



まめ番茶 bancha with nomane

リーフ 30g 1,080円


「カワラケツメイを飲んでいると、いつの間にか体が軽くなって、まめに働くようになる」というのが名前の由来。甘い香りを引き出すため、焙じて番茶とブレンドしました。すっきりして学問が身に付きますよう「天神」様に託しました。煮立ったお湯にひとつまみ投じ、ひと煮立ちさせてお召し上がりください


「天神(てんじん)」のおはなし

時は平安、とても優秀だった右大臣、菅原道真の成功を妬んだ左大臣、藤原時平。天皇を騙して、筑紫の太宰府へ道真を左遷させてしまいます。随身の提案で、道真は仇敵の時平を成敗、のちに学問の神様として祀られました。
激しい太刀舞と衣装の早替え「肩切り」が見どころの演目。道真の衣装には、縁の深い梅の花の刺繍があしらわれています。神楽には珍しく、敵が鬼ではなく人間。社中によってはそれを表現するために、顔の下半分だけの面、半面をまとい、恐ろしさが強調されています。



くろもじ番茶 bancha with lindera

リーフ 30g 1,080円


殺菌作用のあるくろもじを番茶とブレンドした清涼感いっぱいのお茶です。疫病を払う「鍾馗」様に託しました。熱湯を注いでさわやかな香りをお楽しみください。


「鐘馗(しょうき)」のおはなし

昔々の中国、唐の国。玄宗皇帝は重い病に臥せっておられました。病の正体は疫神、人の目には姿が見えません。そこへ、天界を追放され、ぶらついていた鐘馗≒須佐之男命が通りかかり、茅の輪をかざして疫神の仕業と見破ります。激しい死闘の末、十束の剣により疫神は見事退治され、玄宗皇帝は元気になり、国も安泰を取り戻しました。
ひときわ豪華な衣装と、最も難しいとされる舞が見ごたえ抜群の演目です。



少量生産のため、ご購入についてはお問い合わせよりご相談ください。
生産量が増加した際には販売サイトを設置予定で進めております。